その日はやけにビールがうまかった

一時期のぼせて天狗になり
落ち込んだキリンビール。

その後、のどごし生の開発などで
盛り返してきている。

昨日友人としんみりとした苦労話をしながら
ラーメンを食べた。

その味がなんともいえず
情け深くいい味だった。

一夜明けて
会社経営の副社長をまかされる自分に
驕りや高ぶりはないかと不安になった。

そう思い何気なくキリンビールを
飲んだらやけにうまかった。

ひたすら甘いだけのおいしさではなく
苦味を合わせた旨み。

それが大人の味なのだと思った。

仕事でくたびれて
同僚と居酒屋で飲んだ後
ラーメンでしめる。

大人の定番中の定番である楽しみ。

自分も子供ではなく
そういう大人になったのだと
ようやく思った。

となると
作品にもそういう味が求められる。

創作はサービス業だから
お客に面白がらせながら
教訓を教えるのが仕事。

俗ボケしちゃいけない。
大学生時代に飲み会で酔っ払いを見た。

「俺は酔っちゃいねえんだ!」
完全に悪酔いしている。

思えばそれも未来で失敗しないための
大事な経験だ。

そうならないために
基本である古典をやる。

酢でしめた粋な寿司という
味の出し方もある。

大人の世界は奥深い。


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